天に向かって唾を吐かない
こんばんは。 ペルダ・コンサルティングの古橋です。
アメリカのトランプ大統領が、テロ対策を理由にイスラム圏7か国出身者の入国を一時的に禁止するとともに、すべての国からの難民受け入れを一時的に停止する大統領令に署名してからはや10日余り。
この大統領令に反発した司法庁長官代理が即日解任されたり、各地で大規模なデモが起こったり、ここのところはこれに関連するニュースが連日トップで取り上げられていました。 3日には、西部ワシントン州の連邦地裁が、入国制限の即時差し止めを命じる仮処分を下しました。混乱はまだ続きそうな気配です。
ロイター通信が行った世論調査によると、今回の大統領令について、「支持する」と答えたアメリカ国民の割合は、「支持しない」と答えた人のそれを上回っているそうです(支持する:49% 支持しない:41%)。
トランプさんは選挙中からずっと同じことを言ってきたし、その人が当選して大統領になって、選挙中に公約してきたことを忠実に実行しているのだから、「彼はやるべきことをやっている」というトランプさん支持の意見は、一応筋が通っているように思えます。やり方が正しいのかどうか分かりませんが。
今回の大統領令に対しては、世界各国のリーダーが、一斉にトランプさんを批判しました。 ただ、中にはアラブ首長国連邦のように「今回の大統領令はあくまで一時的なもので、特定の宗教を攻撃したものではない。入国禁止を指定された7か国は構造的な問題を抱えており、まずそれを解決すべきだ」と擁護する立場を示す意見もありました。 いろんな立場があるのだなあ、と思います。
そんな中、我らが日本の安倍首相は「コメントする立場にない」「注視しているが、直ちにコメントすることは差し控えたい」と、ひたすら慎重でした。
反対するにしても賛成するにしても明確な立場を示せないというのは情けない、という意見があります。 僕もそう思いました。
ただ、よく考えるとこれも仕方のない話なのかもしれません。 トランプさんは、2017年の難民の受け入れ数を5万人以内に制限すると言っています(オバマ大統領は、11万人と言っていました)。 半分以下ですが、この数字自体は、極端に低いわけでもありません。 日本の難民受け入れ数は、年間100人いくかどうか、というのが実情だからです。
そんな日本に、もしも他の国々から難民が押し寄せてくるようになったとしたら。 はたして僕たちに、それを快く受け入れる寛容さがあるのでしょうか。
例えば、「生活保護なめんな」のジャンパーを着る行政職員。 例えば、福島からの避難者への偏見・差別・いじめ。 公平・公正・平等を必要以上に追い求めた結果としての不寛容。
そんなことが社会問題となっているこの国に、難民受け入れ制限を唱えるトランプ大統領やアメリカ国民を批判する資格があるのでしょうか。
安倍首相がそのことを踏まえて「コメントする立場にない」と答弁していたとしたら、その通りだと思います(たぶん違うと思いますが)。
それよりなにより、国際結婚しておきながら結局離婚してしまった「不寛容のカタマリ」な僕がエラそうにこんなこと言うのは、正に「天に向かってブーメラン」。
コメントは差し控えさせていただきましゅ。