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天に向かう眼差し

こんばんは。 ペルダ・コンサルティングの古橋です。

寒さが続く中、それでもひと雨ごとに暖かい日も現れるようになりました。 ほんの少しずつ季節が春に近付いていることを感じる毎日です。

僕は、金魚とメダカの飼育・観察を趣味の一つとしています。 休みの日は、ベランダで飼っている金魚たちをぼんやりと見つめて時間を過ごしています。 何が楽しいのか、と言われると自分でも考えてしまうのですが、なぜか気持ちが落ち着くのです。

頂天眼(チョウテンガン)、という金魚がいます。 文字通り、両目が上を向いている金魚です。 「出目金」の目玉を上に持ち上げて、水面に目玉が二つ並んでいるような格好・・・といえばお分かり頂けるでしょうか。 中国が原産の金魚で、日本に持ち込まれたのは明治の終わり頃と言われています。 それまでは、門外不出とされていたようです。

その奇妙な見た目から、好き嫌いは別れる種です。 僕もなんとなく敬遠していたのですが、1年ほど前でしょうか、金魚売り場で偶然にも「目が合って」しまったのです。 水面近くから僕を見つめて口をパクパクさせています。 「僕を連れて帰ってよう」と言っているかのようでした。 (今思えば、ただの酸素不足だったのでしょうが) その殺人級の可愛らしさに一瞬で心を奪われ、衝動買いして家に連れ帰ったものを、今でも飼っています。

ところで、なぜこのような珍奇な姿をしているのか。 中国にはこのような言い伝えがあります。

ある男が、口のすぼまった甕(かめ)の中で金魚を飼っていた。 何代も代を重ねていくうちに、金魚はやがて光を求め、元々横についていた目が天を向くようになった・・・というものです。

なかなか神秘的な話ですが、伝説の域を出ません。 実際には、もともと目が上を向いて生まれた突然変異の個体同士を掛け合わせて累代飼育を続け、品種として固定化していったというのが正解でしょう。

また、彼らはほとんど目が見えていないそうです。

暗闇からわずかな光を求めて、その眼差しを天に向けていった挙句、光を失ってしまった。 そう考えると、ユーモラスな見た目の中に、どこかもの哀しいものを感じさせるお魚でもあります。

「天」といえば、これまで「天井知らず」だった時間外労働の上限規制。 「年間720時間(月平均60時間)、繁忙期には月100時間かつ2ヶ月連続の合計が160時間」を時間外の上限とする政府案を、連合側が「条件付きで」受け入れる方針を固めたとの報がありました。 政府は年内にも労働基準法の改正案を国会に提出し、2019年度からの施行を目指す考えです。 (平成29年2月23日 日経新聞)

繁忙期のみとはいえ「月100時間まで認める」という政府案に対しては連合側から強い反発がありますが、今後の交渉で労使双方の落とし所を探っていくようです。

長時間労働に対する規制は、「時間でなく成果で労働の価値を判断される」働き方が求められていることも意味しています。 単なる残業時間の抑制に留まらない、本当の「働き方の改革」が、労使双方の課題として立ち上がってくることでしょう。

でもとりあえず、そんなこととは無関係に、僕は今日も金魚に餌をやっています。 相変わらず寒いねえ。体調はどうだい。などと話しかけながら。

彼らとお話ができるようになるのも、そう遠い未来ではないかもしれません。

その前に誰か僕を助けてください。

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