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血まみれのサービス

こんばんは。 ペルダ・コンサルティングの古橋です。

3月5日、静岡マラソンが行われました。 例年冷たい雨に見舞われることで有名な大会でしたが、今年は快晴で、気持ちの良いレースになったのではないでしょうか。 僕は家でじっとしていたので分かりません。

宅配業界最大手のヤマト運輸が、従業員の労働環境改善と収益の改善のために、宅配便のサービス内容を一部見直すとの発表を行いました。 昼間(正午~午後2時)の時間帯指定を廃止したり、受取人が不在だったときの当日中の無料再配達を見直すことなどが主な内容です。

これは、「ネット通販の拡大」とそれに伴う「ドライバーの人手不足」による現場の疲弊を、如実に表しています。 ネット通販サイトの中には「深夜に頼んでも翌日に届く」ようなサービスすらあります。 それが、末端の物流業者に相当の負荷を掛けていることは想像に難くありません。

このヤマト運輸の動きには、佐川急便や日本郵便も追随する見通しです。

このニュースを見て、クロネコヤマトの昔のTVCMを思い出しました。 1990年代に放送されていたものです。 「スキーがしたい」「ゴルフがしたい」「おいしいお魚が食べたい」 白ネコの様々な要望に、黒ネコがけなげに応えていくという内容でした。 キャッチコピーは「日本のわがまま運びます」

他社に先駆けて消費者の「わがまま」をくみ取り、業界の成長をけん引してきた企業努力は、大変素晴らしいことだと思います。 当日中の無料再配達などは、諸外国ではあまり見られない、日本独自のサービスなのだそうです。

ただし、前にも書きましたけども、「過剰なサービス」は日本の労働生産性を押し下げる要因の一つとして指摘されています。

「日本流のきめ細やかなサービス」。

日本人の美徳として、よく語られる言葉です。 しかしそれが、過酷な長時間労働とサービス残業を前提として成り立っているものだとしたら、果たして胸を張って言える言葉でしょうか。

むしろ、「血まみれのサービス」とでも言い換えるべきかもしれません。

宅配便自体は、便利で大切な社会インフラの一つです。 だからこそ、このサービスを持続可能なものにするためには「その裏で懸命に働いている生身の人間がいる」ことに想像力を働かせる努力が消費者に求められている、と言えるでしょう。 サービスは、決してタダではないのですから。

・・・そんなことを言いながら、僕はネット通販をよく利用しています。 自宅の周りでは手に入らないものが入手できることと、注文してから自宅に届くまでの「ワクワクして待っている時間」が、とても好きなのです。

ヨドバシ・ドット・コムなどは大変便利なのですが、翌日届かなくても配送料がかかっても構わないから、その分ポイントを付けてくれるような選択肢もあるといいなあと思います。 そうしたら、後ろめたさを感じることなくせいせい利用することができるのですが。

また、アマゾン・ドット・コムもよく使います。 3、4年前でしょうか、佐川急便がアマゾンの配達を請け負っていた頃のことです。 配達に来てくれる方が、きれいなおねいさんだった時期がありました。

僕は、そのおねえさんに会いたいがために、特に必要のないものまでわざわざネットで注文するようになりました(サランラップとか)。

そのころの僕の住まいは、エレベーターのない団地の4階でした。

だから僕は「彼女にあまり重いものを運ばせてはいけない」との極めて紳士的な考えのもと、できるだけ小さく軽いものを注文うに心がけました。 しかも送料無料なのをいいことに、ご丁寧に何回も小分けにして。 「不在で受け取れないと彼女の機嫌を損ねるのではないか」。 僕はそうも考え、配達時間帯には必ず家にいるように速攻で帰宅したものです。

しかしその後間もなく、佐川急便はアマゾンから手を引き、彼女が我が家に配達に来てくれることはなくなりました。

僕は勝手に恋に落ちて勝手に失恋しました。

それからというものは、重たい品物も遠慮なく頼むようになり、配達時間帯に家を空けても割と平気になったのです。

こういうバカがいるので、宅配便のサービスはもっと不便でも全然構わないと思います。

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