脱!時間給?
こんばんは。 ペルダ・コンサルティングの古橋です。
安倍首相が今月28日に衆議院解散に踏み切る意向を表明しました。 今回の解散は、北朝鮮の脅威や少子高齢社会に立ち向かうための『国難突破解散』だそうです。
解散の大義が無いだとか、森友・加計学園の疑惑隠しだとか、色々言われています。 ついこの間の内閣改造で「仕事人内閣」と命名しておきながら大した仕事も無しにお役御免、というのも気の毒ですね。 法務大臣の上川陽子さんは怒ってないのだろうか。 町内会の総会でなんか挨拶に来てたのを遠くから見たことある、くらいの関わりしかありませんが、そんなことが気になったりします。
また、今度の解散では社労士的に気になることがあります。 労働基準法の改正案についてです。
臨時国会では、残業時間の上限規制と脱時間給制度を一本化した改正案が議論されるはずでした。 残業の上限規制はともかく、時間でなく成果で賃金を決める「脱時間給制度」は野党や連合が強く反発しているため、審議が難航するとみられていました。
それが解散総選挙のおかげで、議論が更に先延ばしになってしまったのです。 「働き方改革」の行方は、先が見通しにくくなっています。
ところで、この「脱時間給制度」。 働いた時間ではなく成果に応じて賃金を支払う仕組みです。 法律で定められた労働時間の縛りを無くし、残業代や深夜の割増賃金の支払いが不要になります。 対象者は、年収1075万円以上で高度な専門職に就いている人たち。 会社が対象者を無尽蔵に働かせ続けることがないように、連合が求めた「年104日以上の休日確保を義務化する」ことが法案に盛り込まれています。
脱時間給制度自体は、結構前から議論されてきました。
しかし法案は毎回お流れになっていて、今度の臨時国会では他の労基法改正案と併せて本格的に議論される予定でした。
個人的には、年収1000万円の人がタイムカードを押してるのかなあ、というのが率直な感想です。 日本で年収1000万円以上の人は全体の3%。 その中で、脱時間給制度の対象になる高度専門職の人、というともっと少なくなります。 「残業代ゼロ法案」とも呼ばれていますが、対象になる人はかなり限られてくるのではないかと思います。
ただ、一度この法案が通ってしまうと、対象者の縛りは時の政府によっていかようにも変えられるのではないか。 その危険性に対する心配があります。 日経新聞の社説には、「法案の早期成立はもちろん、対象者は今後もっと広げていくのが望ましい」と堂々と書かれていました。 経営者寄りのバイアスがかかっているとはいえ、こうはっきり言われると、もはや無邪気とも思えます。
ほどほどのお給料を頂戴している身分の者には関係のない話さ・・・と安心しているうちに、いつの間にか残業代が払われなくなっている可能性は、決してゼロではないのです。
国会での本質的な議論が期待されます。
だから余計に、選挙なんかやってる場合なの?と思うのですが・・・。