2か所以上で社会保険に入ることになった!?さて、どうする?_所属選択・二以上事業所勤務届
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数30名以下
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎2か所以上で会社の役員になることになった
◎2か所以上の社会保険加入の手続をすることになった
◎ご年齢が30-50代の代表者様
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。
4/1入社の方の手続も、そろそろひと段落する頃でしょうか?
会社の取締役の方が、別の会社でも取締役になる等、「2か所以上で社会保険に加入することになる」ケースが存在します。
今回は「所属選択・二以上事業所勤務届」についてご紹介します。
社会保険の被保険者が、同時に複数(2カ所以上)の適用事業所に使用(勤務)されることとなった場合、被保険者の届出により、主たる事業所を選択して管轄する年金事務所または保険者等を決定します。
傷病手当金や厚生年金のベースとなる「標準報酬月額」については、それぞれの事業所で受ける報酬月額を合算した月額により決定されます。
そして、日々控除される社会保険料は、それぞれの事業所で受ける報酬月額に基づき、按分(A事業所でもらう報酬÷A+Bの合算の報酬)し決定します。
決定した標準報酬月額および保険料額は、選択した事業所の所在地を管轄する事務センターから、横書きの決定通知にて通知されます。
提出する届は、「所属選択・二以上事業所勤務届」です。
(日本年金機構 被保険者が複数の適用事業所に使用されることになったときより引用 https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/todokesho/hihokensha/20140820-03.html)
画像をご覧ください。
上の方が”選択事業所”、今後主だった手続きを行っていくことにする事業所です。
下の方が”非選択事業所”です。
それぞれについて、健康保険証の番号や取得年月日、報酬月額を書いていきます。
画像の記入例で行くと、まず自己負担分の保険料はどうなるでしょう?
選択事業所:260,000円
非選択事業所:30,000円
合計:290,000円
この人の等級は、合計290,000円から、料額表に当てはめて読み解いて、「300,000」となることが分かります。
この人の年齢は、53歳(今が2023年として)になるため、介護保険料も引きます。よって、
健康保険料+介護保険料=17,355円
厚生年金保険料=27,450円
です。
ここから、各事業所ごとに按分されます。
選択事業所:(17,355+27,450)×260,000÷290,000=40,170円
非選択事業所:(17,355+27,450)×30,000÷290,000=4,635円
この計算結果から、
選択事業所では、260,000から40,170円を、非選択事業所では、30,000から4,635円を給与天引きされることが分かりました。
次に、保険証はどうなるでしょうか?
選択した方の保険証に切り替わりますので、もし非選択事業所の保険証を持っている場合は、「所属選択・二以上事業所勤務届」とともに、年金事務所へ返却します。
そののち、新しい保険証が届きます。
最後に、喪失をした場合です。
選択した方・非選択の方どちらか片方を退職した場合でも、両方とも退職した場合でも、資格喪失届を出すのは同じです。
選択した方を退職して、非選択の方では残る場合、保険証の切替の必要があります。
本届を郵送する場合には、基礎年金番号で届け出れば添付書類不要ですが、マイナンバーを記載したら、
マイナンバーを確認できる書類:マイナンバーカード両面コピーor住民票や通知カードのコピー
本人確認書類:免許証コピーなど
とセットにして提出します。送り先は、静岡であれば名古屋広域事務センターといったように、事務センター宛になります。
仮に、A事業所では代表取締役、B事業所では一般社員という身分の場合で、”主たる賃金を受ける雇用関係”がB事業所である場合には、雇用保険も取得することになります。
ただし、B事業所を退職して失業給付を受けようとする際には、「A事業所をやめていない」のであれば、受けることができません。ご注意ください。
将来の年金額や、保険証の正しい利用にかかわる事務になりますので、分からない点がございましたら社会保険労務士までお尋ねください。
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