なぜ、残業を減らさなきゃいけないの?_社労士白門会講演感想①
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数30名以下
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎「早く家に帰ってもすることがない」という声が上がっている
◎残業が多く、会社も従業員も負担になっている
◎ご年齢が30-50代の代表者様
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。
先日6/11に、中央大学卒業生からなる社会保険労務士の組織「社会保険労務士白門会」の第18 回総会が行われました。
講演会では、中央大学大学院戦略経営研究科教授でいらっしゃる佐藤博樹先生が、「誤解の多い働き方改革・生活改革と好循環が鍵」というテーマでご講演されました。
今回はそのレポートになります。
全体を通して印象に残ったのが、最近言われる「働き方改革」が、何のためのものだったのか、見えにくくなっているという点。
◎パパ育休は、それを取ってもらって、取得率が上がって良かったね、がゴールではなくて、「育児参加してもらうこと・1,2週間の育休を、そのきっかけにしてもらうこと」がゴール。
◎残業を減らすために、一斉退社日を作る。これがゴールではなくて、「定時に帰れるように仕事を見直そう」がゴール。
いつの間にか、目的と手段がごっちゃになっていることが分かります。
☆長時間労働の解消
そんな働き方改革の主軸である「長時間労働をなくす」という部分。
これの何が問題だったかといえば、「ママさん・障がいのある方といった多様な人材活用がうまくできなかったり、健康について支障が出たりする」というところです。
でも、総労働時間を減らそう、と言い続けてもダメで、
仕事要因:量や納期など
マネジメント要因:指示や割り振りがうまくいっていない
本人要因:仕事意欲が高い(ワーカホリック)
人事管理要因:評価基準に仕事量が置かれている
職場風土:自分の生活を大事にする文化が受け入れがたい
これらをクリアにしていかなければ、長時間労働は減らないのです。
☆労働時間と生活時間で見る、人生の充実
週50時間も働く人は、実労働時間+通勤時間+休憩時間という会社のための時間と、睡眠時間まで引くと、1日に「自分のために」使える時間はごくわずか。土日も寝てるだけ、ということになってしまいます。
家族がいるお家では、子供や奥さんに使える時間もなくなるわけですね。
そんな中、残業するなら「毎日ではなく、1日にまとめてやる」というアイデアをお話されていました。
基本は17時台に退社、家族でご飯を食べてコミュニケーションを取る時間を大事にして、残るべき日(事前に決めておく)にはがっつりやる、というメリハリが良いということでした。
平日のゆとりを作ることが、豊かな人生の一歩につながります。
☆飛び込みの仕事!さあ、どうする?
得意先様からの飛び込みの仕事、今までは「徹夜してでもやれ」ということでしたが、これからは?
以下の3つの手順で、残業を考えていきましょう。
①まずは、取引先とのコミュニケーション。
「言われた納期に持っていきますが、もう1日時間いただければ、よりよいものができますけど、いかがでしょうか?」と聞いてみます。顧客ファーストの日本では、これまで実はやってこなかったことです。実際に、依頼相手に納期のことを聞いてみると、「本当に手元にあればいい日」より、相当早めに言っているケースが大半のようです。本当に急ぎなのか?確認するだけしてみるのはアリでしょう。
②今日やるはずの仕事を、「本当に今日やるべきだったか」考える。
飛び込みの仕事が入ってくる前に、もともと今日やるはずだった仕事。これは「本当に今日やるべきだった」でしょうか?
ここを見直してみると、無理に残業する必要がなくなるかもしれません。
※それでも残らないといけないなら、「本当に今日残らざるを得ないのか?」を考えて残業すること!
③残ってしまったならば、明日残らなくても済むように、「明日やるべきことを片付けちゃう」
働き方改革を考えるうえでのポイントは、「残業するな!」と言っているわけではないということ。残業時間を寄せ集めて、これを経て、「結果として残業減ったね」となるのが理想です。
初めから「残業するな!」というアプローチはいびつな結論を生んでしまいます。
働き方改革の大号令が、時間削減から入っていったことで、「そりゃ無理だ」「残業代減ったんだけど!」という声につながっていったのではないかな、と感じます。
1日の労働時間をどう工夫するか、自分の時間をどう作っていくか、という部分に立ち返って、会社・働く方が協働して改革に臨めたらと思います。
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