不幸なすれ違いを生むアンコンシャスバイアス④正常バイアス
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数30名以下
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎ご年齢が30-50代の代表者様
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。
ビジネスの世界でも、人間関係や判断において潜在的に影響を与える要素が存在します。それが「アンコンシャスバイアス」です。
アンコンシャスバイアスとは、無意識のうちに私たちが持つ先入観や偏見のこと。これが私たちの判断や意思決定に影響を及ぼすことがあります。
例えば、こんなことはありませんか?
・有名企業出身の人物に対しては、自然と高い評価をしてしまう
・外見や出身校に基づいて、優劣を判断してしまう
こうした無意識の先入観は、人事評価の場面では、評価エラーなどとして、時に課題に挙げられます。
いくつかあるアンコンシャスバイアスの中で、今回ご紹介するのは「正常バイアス」です。
正常バイアスとは何か
正常バイアスは、私たちが自分たちの信念や行動を正当化し、合理的だと考える傾向を指します。これは、我々が自己肯定感を保ち、自己評価を高めようとする本能的な反応と関連しています。正常バイアスは、自分たちが適切で合理的な意思決定を行っているという錯覚を生むことがあり、客観的な現実から逸脱することがあります。
災害の場面では、「まだ大丈夫」「自分は大丈夫」という思い込みが起こり、危機が生じたときに対処ができなくなるという事態に陥ります。
正常バイアスの例
それでは、正常バイアスの例を3つ挙げてみましょう。
1. 成果の過大評価
自分の会社の仕事を評価する場合、正常バイアスの影響を受けるかもしれません。
成功したプロジェクトや製品を手掛けた際、その成功を自分の優れた意思決定と能力に帰せることが多いです。
これにより、自己肯定感が高まります。このこと自体は自信を深める良い機会になりますが、「もう大丈夫だろう」と、それ以降のその仕事に関する現実的なリスクを無視する可能性があります。
2. 長時間労働
「このくらいの働き方でないと回っていかない」という企業の先入観、「心身とも健康だし、いくらでも働ける」という働く方の先入観、どちらもリスクに振れる可能性が高いです。
大きな問題になる前に、長時間労働は健康を害するという客観的なデータとの比較で、改善していくことが大切です。
3. 安全衛生管理
高所作業などの危険が伴う仕事の際、「自分は落ちたり、ケガすることはない」と過信してしまうことが考えられます。
こうしたルールを守らない=正常であると思い込むときほど、事故は起こってしまうものです。
正常バイアスを克服する方法
正常バイアスから逃れるためには、以下の方法が役立ちます。
客観的な評価 自分の信念や行動を客観的に評価しましょう。客観的なデータや事実に基づいた判断を行うことが重要です。
他者の意見を尊重 他人の評価や意見を尊重し、客観的な評価の一部として受け入れることが大切です。他人からの批判や意見に対して、開かれた態度を持ちましょう。
リスクの適切な評価 リスクを適切に評価し、正当化せずに客観的な評価を行うことが重要です。リスクを無視せず、リスク管理を行いましょう。
「こうなったら、こうする」を決めておく 万が一の事態が起こって、慌てたりまだ大丈夫と思いこんだりしないためには、事態を想定して「こうなったら、こうする」を決めておくことが良いでしょう。『避難指示が出たら、山の上まで避難する』などです。
「なぜ」を常に考える 「正しい」「大丈夫」と思う理由はなぜか?裏付けがない思い込みなら、根拠をもって行動できるように変えていきます。
自動車運転の事故やお酒にまつわるトラブル等、自分が正常であるという先入観(はたから見るとそうではない)によってもたらされるものが多くあるように感じます。
会社のマネジメントの中では、ルールを守ってもらうこと、そのルールが適正であるか客観的に見ておくことが大切です。
とはいえ完全になくすことは難しいので、「そういうバイアスが、今起こっているかも」と気づくことができるゆとりを持つことを目指しましょう。
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