年収の壁・支援強化パッケージ_130万円の壁・「一時的な収入変動」であることを証明する様式が公開されました
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数51名以上
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎扶養の範囲内で働くため、働く時間を調整している従業員さんがいる
◎ご年齢が30-50代の代表者様
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。
年収の壁・支援強化パッケージの中で、収入が130万円を超えてしまったとしても、それが一時的であることを事業主が証明すれば、扶養家族でい続けることができるという、「130万円の壁」への対応メニューがあります。
もともと、社会保険でいうところの扶養家族でいるためには、130万円未満の収入でなければいけません。
例えば月10万円で働いている方が、繁忙期が多く収入が増えただけで130万円以上になってしまったとしたら、それは扶養異動→130万円以上収入のあった方はご自身で国民健康保険等に加入する、ということになっているのです。
そんな理不尽さを解消すべく、年収の壁・支援強化パッケージでは、パート・アルバイトで働く方が、繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、引き続き扶養に入り続けることが可能となっています。
今回は、「収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明する」という部分について、証明の様式が厚生労働省から公開されましたので、ご紹介いたします。
(厚生労働省:事業主証明様式(PDF)より引用 https://www.mhlw.go.jp/content/001159348.pdf)
記入の具体例を挙げるにあたって、
”被保険者”=”大企業で働く夫” ”被扶養者”=”中小企業(保険者が協会けんぽ)で働く妻”
とさせていただきます。(ジェンダーレスの観点から問題があるかと思いますがご了承ください。)
上は旦那様と奥様の連名、下は奥様が働く会社さんの証明欄となります。もともとの契約は何円だったのかや、忙しかった時期はいつだったのか等を書くことになります。
ご覧いただいている中小企業の皆様におかれましては、下の証明欄の記入の必要性を認識しておきましょう。
パート・アルバイトで働く奥様で、これまでも130万円の壁を意識して調整してこられた従業員様がいらっしゃったのではないでしょうか。
・その方々からこの用紙の記入を求められたら。(旦那様の大企業の方で、これを書いてきてもらうようにと旦那様→奥様に書類が渡ることもあるかもしれませんね)
・あるいは、そういったこれまでの事情を知っているから、中小企業の皆様が先行してこの用紙を配ったら。
この下の部分を記入しましょう。
記入後は、次のように書類が回っていきます。
①中小企業の皆様→②皆様のところで働かれている奥様→③旦那様→④旦那様が勤める大企業→⑤大企業がお世話になっている健康保険組合
⑤まで回って、もし奥様の雇用契約書を確認したいということがあれば、別途皆様の方で、書類の追加提出を求められるかもしれません。
つまり、「繁忙期によって130万円以上に一時的になってしまった」のではなく、「毎月11万円×12ヵ月で、これはもう初めから130万円以上になる前提じゃない?」という場合には、この証明・そして旦那様が奥様を扶養に入れるということが認められなくなる可能性があります。
証明さえすれば扶養に入れ続けられる、というほど万能ではなく、きちんと”一時的”であることを証明することが大切です。
労務管理としては、
①忙しい時期でも時間を調整することなく働いてもらうことができるか
②常に130万円以上になるような働き方になってしまって手取りがマイナスになるなら、もっと突き抜けて働くことを提案できないか
③いつも通りの時間で帰ることができるよう、効率的に仕事を回すことはできないか
こうした視点で見直してみるのはいかがでしょうか。
ニュースや行政機関の発表を良いきっかけにしてみましょう。
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