自転車のヘルメット着用努力義務化と、自転車通勤に関するルール作り
こんな方に読んでほしい!
◎静岡市近郊で営業中
◎従業員数30名以下
◎活気ある職場づくりを通して業績アップにつなげたい
◎自転車で通勤する従業員がいる
◎ご年齢が30-50代の代表者様
こんにちは。社会保険労務士の杉浦です。
2023年4月1日から、道路交通法により自転車のヘルメット着用が努力義務化されました。この義務は自転車を運転する全ての人、同乗する全ての人に対して適用されます。また、児童や幼児が自転車を運転する場合にもヘルメットをかぶらせるように努めなければなりません。
スタートから数週間経過して、静岡市内ではまだ着用していない方の姿も見受けられます。
今回は、通勤手段としての自転車と、就業規則・社内ルールや収集物について見ていきましょう。
自転車は便利な乗り物ですが、ひとたび事故が起こると加害者となる場合があります。
静岡市では、自転車保険への加入が2019年10月1日より義務となっています。自転車保険に加入することで、自転車事故による損害に備えることができます。
自転車保険の加入が義務化される以前から、自転車事故が多発していました。事故によって、以下のような高額な賠償金が発生するケースも。
《自転車での加害事故例》
(1)坂道を自転車で下って来た男子小学生が、歩行中の女性と正面衝突。被害者は意識不明に。
⇒約9,500万円(平成25年 神戸地裁)
(2)男子高校生が車道を斜めに横断し、対向車線で自転車に乗っていた24歳男性と衝突。被害者は後遺症が
残った。
⇒約9,300万円(平成20年 東京地裁)
(3)信号を無視して高速度で交差点に進入。横断中の女性と衝突し、被害者は死亡。
⇒約5,400万円(平成19年 東京地裁)
(静岡市HPより引用)
被害者の方が他人の方、加害者の方が従業員さんである場合には、従業員さんに刑事・民事両方からの責任が問われることになります。
無保険となると、従業員さんの支払う力にも限界があるうえ、通勤途上での事故となると、会社に向けられる目も心配ですよね。
よって、通勤に関するルール(社内の事務処理ルール程度でも構いませんし、就業規則にも記載があれば直します。)で、
自転車通勤をしている方が自転車保険に加入しているかどうか?
入っていれば、その保険証書のコピーを保管
といった対応を取ることが良いでしょう。
そして、今回のヘルメット着用努力義務化です。
被害者の方が従業員さん、加害者の方が他人の方である場合には、従業員さんが働くことができない重大なケガを負う可能性があります。
自転車事故のうち、約6割が頭部のケガとのことです。
加えて、非着用の場合の致死率は、着用していた場合と比べて2倍にもなるとのこと。
事故直後から最悪の事態になることはもちろんですが、その場では平気でも、脳に何らかの影響を及ぼし、後遺症が残る可能性も否定できません。
会社様におかれましては、自己防衛として、ヘルメット着用を強く推奨していきましょう。
また、今回のヘルメット着用努力義務化が注目を浴びていることを機に、乗り方やその他の安全への工夫を周知することも良いと思います。
例えば、
夜間や悪天候時は、ライトや反射材などで自分自身の存在をアピールすること。
スマートフォンなどの操作やヘッドホンの使用は避けること。
道路の状態や交通量に合わせて、速度を調整すること(歩道を走らざるを得ない場合は、猛スピードで走らない)。
原則、左側通行を守ること。
飲酒運転は絶対ダメ。
などが挙げられます。
警察庁にて、安全運転のリーフレットも公開されています。通勤手段で自転車を選択された方がいらっしゃった場合には、上記保険証書の提出と引き換えに、こちらをお渡ししましょう。
(出典:警察庁ウェブサイト(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/bicycle/info.html)
自転車通勤は、健康的でエコな移動手段として注目されていますが、安全面にも十分に配慮して運転することが求められます。自転車のヘルメット着用の努力義務化や自転車保険の義務化は、自転車利用者が安全に利用できる環境を整備するための取り組みであり、これに従って自転車通勤を行うことが大切です。気軽に乗ることができるものの、人を傷付けてしまう可能性も十分にある乗り物です。従業員さんが加害者とならないよう、また被害者となっても軽傷で済み、引き続き働くことができるよう、ルール作りについて考えてみませんか?
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